マネーの魔術史 (38)

レンテンマルクの奇跡:インフレ鎮静化

執筆者:野口悠紀雄 2018年2月15日
エリア: ヨーロッパ
(C)AFP=時事

 

 1923年のドイツ。各党の広い支持を得たグスタフ・シュトレーゼマンが8月に首相となり、ルール地方占領への抵抗を中止し、生産を開始した。

 そして、インフレ終息をめざす。銀行家ヒャルマル・シャハトが呼び寄せられ、その役目を負った。ルドルフ・フォン・ハーフェンシュタインがライヒスバンク総裁辞任を拒否していたので、シャハトはライヒ通貨委員に任命された。この2人は近くのオフィスで仕事をしたが、口をきくことはなかった。

 新しい発券銀行として「ドイツ・レンテンバンク」(Deutsche Rentenbank)が設けられた。レンテンとは、地代、利子の意味である。

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執筆者プロフィール
野口悠紀雄(のぐちゆきお) 1940年東京生まれ。東京大学工学部卒業後、大蔵省入省。1972年エール大学Ph.D.(経済学博士号)取得。一橋大学教授、東京大学教授などを経て、現在、早稲田大学ビジネス・ファイナンス研究センター顧問、一橋大学名誉教授。専攻はファイナンス理論。1992年に『バブルの経済学』(日本経済新聞社)で吉野作造賞。ミリオンセラーとなった『「超」整理法』(中公新書)ほか『戦後日本経済史』(新潮社)、『数字は武器になる』(同)、『ブロックチェーン革命』(日本経済新聞社)、『マネーの魔術史』(新潮選書)、『AI時代の「超」発想法』(PHPビジネス新書)など著書多数。公式ホームページ『野口悠紀雄Online』【http://www.noguchi.co.jp
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