マネーの魔術史 (41)

政権の下方に深い亀裂が突然口を開けた

執筆者:野口悠紀雄 2018年3月8日
タグ: ロシア
エリア: ヨーロッパ
(C)AFP=時事

 

 1920年にクリミア半島から白軍最後の部隊が撤退・亡命し、内戦が終結した。

 しかし 、本当の問題は、ボリシェビキの内部にあった。マーティン・メイリアは、『ソビエトの悲劇』(白須英子訳、草思社、1997年)の中で言う。

 内戦末期のボリシェビキ体制の最大の問題は、世界革命の失敗や辺境国再吸収の失敗ではなく、浮上しつつある内部危機だった。ソビエトロシアの砦の中で、党政権の下方に、深い亀裂が突然ぱっくりと口を開けた。農民と兵士と労働者が、同時に離脱し始めたのである。

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執筆者プロフィール
野口悠紀雄(のぐちゆきお) 1940年東京生まれ。東京大学工学部卒業後、大蔵省入省。1972年エール大学Ph.D.(経済学博士号)取得。一橋大学教授、東京大学教授などを経て、現在、早稲田大学ビジネス・ファイナンス研究センター顧問、一橋大学名誉教授。専攻はファイナンス理論。1992年に『バブルの経済学』(日本経済新聞社)で吉野作造賞。ミリオンセラーとなった『「超」整理法』(中公新書)ほか『戦後日本経済史』(新潮社)、『数字は武器になる』(同)、『ブロックチェーン革命』(日本経済新聞社)、『マネーの魔術史』(新潮選書)、『AI時代の「超」発想法』(PHPビジネス新書)など著書多数。公式ホームページ『野口悠紀雄Online』【http://www.noguchi.co.jp
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