連載小説 Δ(デルタ)(最終回)

執筆者:杉山隆男 2018年3月31日
エリア: 北米 アジア
沖縄県・尖閣諸島の魚釣島と北小島、南小島 (C)時事

 

【前回までのあらすじ】

秘密部隊デルタの戦いが始まった。眼前に現れた異様な光景を、隊員も、モニターで見守る官邸も凝視していた。着々と任務を遂行するデルタ、刻々と近づく中国軍機――。近未来シミュレーション小説、衝撃の最終回!

 

     37(承前)

 スクリーンの向こうでは、大蛇に胴体を巻きつけられた愛国義勇軍の男がその締めつけから何とか逃れようと、必死の形相でもがきつづけていた。仲間たちは大蛇に向けて銃を構えていたが、発砲したら、大蛇が巻きつけている男を胴体ごと銃口の方に振り向けたり、流れ弾が当たることを恐れて、なかなか踏み切れずにいるようだった。

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執筆者プロフィール
杉山隆男(すぎやまたかお) 1952年、東京生れ。一橋大学社会学部卒業後、読売新聞記者を経て執筆活動に入る。1986年に新聞社の舞台裏を克明に描いた『メディアの興亡』で大宅壮一ノンフィクション賞を受賞。1996年『兵士に聞け』で新潮学芸賞受賞、以後『兵士を見よ』『兵士を追え』とつづく「兵士シリーズ」は7作目の『兵士に聞け 最終章』で完結した。ノンフイクション、小説、エッセイなど精力的に執筆し、『汐留川』『昭和の特別な一日』『私と、妻と、妻の犬』など著書多数。
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