連載小説 Δ(デルタ)(48)

執筆者:杉山隆男 2018年3月17日
タグ: 尖閣諸島 中国
エリア: 北米 アジア
沖縄県・尖閣諸島の魚釣島と北小島、南小島 (C)時事

 

【前回までのあらすじ】

秘密部隊デルタはセンカクに向かった。その上空に、中国機が次々と接近してくる。日中の空のバトルが始まろうとしていた。さらに巡視船「うおつり」でも最後の戦いの幕が開いた。

 

     35

 市川はすばやく警戒をめぐらせる視線の先に、男から奪った短機関銃の銃口を振り向けながら、ブリッジに通じる階段を駈けあがっていった。

「謝(シェ)ッ、聞こえるか! 相棒の馬(マー)は俺が殺した。ゴムボートも破壊した。だから、もうおまえはこの船から逃げられない」

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執筆者プロフィール
杉山隆男(すぎやまたかお) 1952年、東京生れ。一橋大学社会学部卒業後、読売新聞記者を経て執筆活動に入る。1986年に新聞社の舞台裏を克明に描いた『メディアの興亡』で大宅壮一ノンフィクション賞を受賞。1996年『兵士に聞け』で新潮学芸賞受賞、以後『兵士を見よ』『兵士を追え』とつづく「兵士シリーズ」は7作目の『兵士に聞け 最終章』で完結した。ノンフイクション、小説、エッセイなど精力的に執筆し、『汐留川』『昭和の特別な一日』『私と、妻と、妻の犬』など著書多数。
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