中東―危機の震源を読む (1)

イラクの歩みを報じるアラビーヤの登場

執筆者:池内恵 2005年1月号
エリア: 中東

 二〇〇四年四月の日本人人質事件の際、「アル=ジャジーラ政局」と一部で呼ばれたほど、カタールの衛星テレビ「ジャジーラ(Al-Jazeera)」の名は日本でも定着した(アラビア語のAlは英語のTheに相当するため本稿では省略する)。アラブ世界のメディアと政治的言説に大きな変化を迫った点でジャジーラの功績は大きい。しかし、その可能性とともに限界をすでに露呈し、変質を始めている。ジャジーラの登場に触発され、各国で衛星テレビ局が続々と誕生した。こうした構造変動の中で、相対化されつつあるということだろう。

カテゴリ: IT・メディア
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執筆者プロフィール
池内恵(いけうちさとし) 東京大学先端科学技術研究センター グローバルセキュリティ・宗教分野教授。1973年生まれ。東京大学大学院総合文化研究科地域文化研究専攻博士課程単位取得退学。日本貿易振興機構アジア経済研究所研究員、国際日本文化研究センター准教授を経て、2008年10月より東京大学先端科学技術研究センター准教授、2018年10月より現職。著書に『現代アラブの社会思想』(講談社現代新書、2002年大佛次郎論壇賞)、『イスラーム世界の論じ方』(中央公論新社、2009年サントリー学芸賞)、『イスラーム国の衝撃』(文春新書)、『【中東大混迷を解く】 サイクス=ピコ協定 百年の呪縛』 (新潮選書)、 本誌連載をまとめた『中東 危機の震源を読む』(同)などがある。個人ブログ「中東・イスラーム学の風姿花伝」(http://ikeuchisatoshi.com/)。
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