中東―危機の震源を読む
中東―危機の震源を読む(85)

「ボストン・テロ」は分散型の新たな「グローバル・ジハード」か?

池内恵
執筆者:池内恵 2013年4月25日
エリア: 中東 北米
 4月19日、FBIがホームページ上で容疑者として公開したツァルナーエフ兄弟の姿 (C)時事
4月19日、FBIがホームページ上で容疑者として公開したツァルナーエフ兄弟の姿 (C)時事

 4月15日に発生したボストン・マラソンの爆破事件で、2人の兄弟の容疑者のうち、兄のタメルラン・ツァルナーエフ(Tamerlan Tsarnaev)が銃撃戦で死亡し、弟のジョハル・ツァルナーエフ(Dzhokhar Tsarnaev)が負傷して逮捕された。注目されるのは、どのような思想的背景に基づく犯行なのかであり、組織的支援があったのか否かである。イスラーム主義的なジハードの唱導に影響された、「グローバル・ジハード」のなんらかの影響下にある事件なのか。あるいは米国で多種多様に存在する過激・暴力的・反社会的な思想に影響を受けた米国固有の事件なのか。この問題への回答の如何によって、米国の社会と政府の対応は変わってくるだろう。

 これに関して、気になる報道がある。逮捕された弟が、「アル=カーイダ系の英語ウェブ雑誌『インスパイア(Inspire)』から情報を仕入れた」という供述をしているというのだ【NBCニュース・ウェブサイト4月23日付「ツァルナエフの電話、コンピュータの捜査からは共犯者の存在は見られない、情報筋」】【続報】。これらの記事によれば、ジョハルは捜査官に対して、兄弟だけで犯行を行ない、圧力鍋による爆弾の作り方はインターネットから仕入れたと供述しており、『インスパイア』から爆弾の製法を学んだとも供述しているという。

この記事は役に立ちましたか?
フォーサイト最新記事のお知らせを受け取れます。
この記事をSNSにシェアする
執筆者プロフィール
池内恵
池内恵 東京大学先端科学技術研究センター准教授。1973年生れ。東京大学大学院総合文化研究科地域文化研究専攻博士課程単位取得退学。日本貿易振興機構アジア経済研究所研究員、国際日本文化研究センター准教授を経て、2008年10月より現職。著書に『現代アラブの社会思想』(講談社現代新書、2002年大佛次郎論壇賞)、『イスラーム世界の論じ方』(中央公論新社、2009年サントリー学芸賞)、『イスラーム国の衝撃』(文春新書)、本誌連載をまとめた『中東 危機の震源を読む』などがある。個人ブログ「中東・イスラーム学の風姿花伝」(http://ikeuchisatoshi.com/)。
comment:3
icon
  • 記事の閲覧、コメントの投稿には、会員登録が必要になります。
フォーサイトのお申し込み
逆張りの思考
価値あるバックナンバー
注目記事ランキング
  • 24時間
  • 1週間
  • f
最新コメント
最新トピック
  • 新着
  • 高評価
  • コメント数順