国際開発と米中競争:オバマ米大統領のアフリカ訪問

平野克己

 オバマ米大統領が7月末にケニアとエチオピアを訪問した。父親の母国ケニアでは「世界企業家サミット」を主催し、エチオピアでは米大統領として初めてアフリカ連合(AU)で演説した。「アフリカ成長機会法」(AGOA)の延長に署名してから出発したが、AGOAとはアフリカ産品に対する無税無制限輸入政策であり、原材料をアフリカのどこかに持ち込んで加工すればアメリカの市場に優先的に入れてもらえるというものだ。クリントン時代から始まった、アメリカの“専売特許”的目玉政策である。といっても、9割以上は原油輸入で使われてきた。

 しかし、シェールガス革命によってアメリカはもはやアフリカ産原油を必要としていない。それゆえアフリカからの輸入が激減していて、エチオピアの外相からは「アメリカとの関係に欠けているのは貿易投資」とまで言われてしまった。オバマ政権唯一のアフリカ政策といってよい「パワーアフリカ」(アフリカ電化支援)とAGOAくらいしか、具体的な開発支援政策として誇れるものがないというのが現状だ。オバマ政権下のアメリカのアフリカ関与は、ほとんどテロ対策に費やされてきたのである。今回ケニア政府と行った具体的な政策協議も、ケニアが永く交戦状態にあるソマリアのアルシャバーブ対策を中心とした、国際テロに関するものだった。

この記事は役に立ちましたか?
フォーサイト最新記事のお知らせを受け取れます。
この記事をSNSにシェアする
執筆者プロフィール
平野克己
平野克己 1956年生れ。早稲田大学政治経済学部卒、同大学院経済研究科修了。スーダンで地域研究を開始し、外務省専門調査員(在ジンバブエ大使館)、笹川平和財団プログラムオフィサーを経てアジア経済研究所に入所。在ヨハネスブルク海外調査員(ウィットウォータースランド大学客員研究員)、JETRO(日本貿易振興機構)ヨハネスブルクセンター所長、地域研究センター長などを経て、2015年から理事。『経済大陸アフリカ:資源、食糧問題から開発政策まで』 (中公新書)のほか、『アフリカ問題――開発と援助の世界史』(日本評論社)、『南アフリカの衝撃』(日本経済新聞出版社)など著書多数。2011年、同志社大学より博士号(グローバル社会研究)。
comment:0
icon
  • 記事の閲覧、コメントの投稿には、会員登録が必要になります。
フォーサイトのお申し込み
【中東大混迷を解く】 サイクス=ピコ協定 百年の呪縛
注目記事ランキング
  • 24時間
  • 1週間
  • f
最新コメント
最新トピック
  • 新着
  • 高評価
  • コメント数順