「人口減少」と「経済成長」:地域研究の新しい使命

平野克己
執筆者:平野克己 2017年1月10日
エリア: アフリカ 日本
総務省の統計によれば、すでに65歳以上が人口の3割近くを占めている。労働人口が激減する超高齢化社会の時代にどう生産性を維持すればいいのか――(C)時事

 

 これから未曽有の人口減少に見舞われる日本について、「だからといって必ずしも経済成長率がマイナスになるわけではない」という意見が、エコノミストたちから度々発せられる。「労働人口、すなわち生産関数における労働インプットが年1%減ったとして、それがそのまま総生産を押し下げるわけではない。資本投入量や生産性の向上によってそのマイナス効果を相殺することは十分可能だ」という意見である。

 説明変数と被説明変数の関係ではそうだろう。だが、長期的にもそんなことが言えるだろうか。50年もすれば日本の労働人口は半分になり、総人口は8000万人になるが、もしその間経済成長率をゼロに維持できたとすれば、人口が減った分日本の1人当たりGDP(国内総生産)は5割増しになる。100年たって総人口が3分の1になってもGDPが変わらなければ、1人当たりGDPは3倍になるわけだ。

 人口が減れば減るほど平均所得が増えて豊かになるとは、真にありがたい話ではあるが、それほど継続的に生産性を向上させ続けることが可能だろうか。もし可能なら、どうして平成不況から脱却できないのか。先進国の最大産業はサービス業であるが、製造業のようには設備投資の効果が働かないサービス業において、労働生産性を上昇させるのは簡単ではない。

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執筆者プロフィール
平野克己 1956年生れ。早稲田大学政治経済学部卒、同大学院経済研究科修了。スーダンで地域研究を開始し、外務省専門調査員(在ジンバブエ大使館)、笹川平和財団プログラムオフィサーを経てアジア経済研究所に入所。在ヨハネスブルク海外調査員(ウィットウォータースランド大学客員研究員)、JETRO(日本貿易振興機構)ヨハネスブルクセンター所長、地域研究センター長などを経て、2015年から理事。『経済大陸アフリカ:資源、食糧問題から開発政策まで』 (中公新書)のほか、『アフリカ問題――開発と援助の世界史』(日本評論社)、『南アフリカの衝撃』(日本経済新聞出版社)など著書多数。2011年、同志社大学より博士号(グローバル社会研究)。
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