米共和党の「上院過半数獲得」を左右する「茶会党」の戦略

足立正彦
執筆者:足立正彦 2014年2月27日
カテゴリ: 国際
エリア: 北米

 今年11月に行われる米国の中間選挙での下院議員選挙は、民主党が多数党に復帰するために必要な17議席以上の純増を図ることは困難で、共和党が引き続き多数党の立場を維持することはほぼ確実視されている。そうしたこともあり、今年の中間選挙の最大の焦点は、共和党が8年ぶりに上院で多数党の立場に復帰し、来年1月に招集される第114議会(2015年1月-2017年1月)で上下両院を支配することができるか否かである。

 4年前の2010年中間選挙では、「小さな政府」の実現などを求める保守派の白人有権者の草の根運動である「茶会党運動」が共和党の歴史的大勝の原動力となった。とりわけ下院では、共和党はトルーマン政権当時の1948年以降では最大となる63議席もの大幅な議席の純増に成功し、4年ぶりに多数党の立場に復帰することができた。ところが、上院議員の共和党予備選挙では、政治家としての資質を疑われるような候補を茶会党支援勢力が相次いで擁立したため、当初は接戦になると予想されていた複数の上院議員選挙で敗北を喫した結果、上院での多数党の立場を奪還することに失敗してしまった。

 たとえばこのときデラウェア州では、穏健派のベテラン共和党政治家であった、元同州知事のマイケル・キャッスル下院議員(デラウェア州全区)が、指名を獲得することが当初有力視されていた。ところが、茶会党支援勢力が共和党活動家であったクリスティン・オドネルを熱心に支援した結果、オドネルが指名を獲得した。だが、オドネルは選挙キャンペーン中に「魔術をしたことがある」などの問題発言を繰り返し、支持率は急速に低下し、本選挙では民主党候補に敗北している。デラウェア州のオドネルだけではなく、コネティカット州(リンダ・マクマホン)、ネヴァダ州(シャロン・アングル)、ワシントン州(ディノ・ロッシ)でも、上院本選挙では茶会党支援候補が相次いで民主党候補に敗北した。2010年中間選挙の結果は、民主党51議席、共和党47議席、無所属2議席という結果であった。仮に共和党が無党派層などからも広範な支持を獲得することが期待できる候補を擁立していた場合、コネティカット、デラウェア、ネヴァダ、ワシントンの4州で勝利していた可能性が指摘されており、そうなれば共和党は51議席を獲得し、上院も下院とともに多数党に復帰していたことになる。

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執筆者プロフィール
足立正彦
足立正彦 住友商事グローバルリサーチ シニアアナリスト。1965年生れ。90年、慶應義塾大学法学部卒業後、ハイテク・メーカーで日米経済摩擦案件にかかわる。2000年7月から4年間、米ワシントンDCで米国政治、日米通商問題、米議会動向、日米関係全般を調査・分析。06年4月より現職。米国大統領選挙、米国内政、日米通商関係、米国の対中東政策などを担当する。
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