腕撫して待つ華商たち

樋泉克夫
執筆者:樋泉克夫 2001年11月号
エリア: 中国・台湾

中国経済の命脈は、対中投資と輸出拡大。この二つの担い手として筆頭格は華人企業家たちだ。資産総額二兆五千億ドルのネットワークに北京指導部の期待も募る。第六回世界華商大会を現地レポート。 九月十六日、香港から南京へと向う。第六回世界華商大会参加のためだ。九月十一日の米国同時多発テロの影響だろう、空港はいつもより閑散としていた。だが南京行きだけは別だった。満席状態の定期便の合間を縫うように、臨時便も次々と飛び立つ。 香港から南京まで二時間ほどの機中は、さながら集団里帰り旅行といった雰囲気。全員が世界各地から大会に参加する華人企業家だから、住んでいる国や地域は別々でも身内も同然だ。互いの身の上、ビジネス、中国市場の将来性など、広東語、潮州語、海南語など父祖伝来の方言や各国語が飛びかい会話が弾む。ベルト着用サインが消えるのも待ちきれずに席を立ち、名刺の束を手に機内を歩き回り自己紹介に努める者も少なくない。ハイジャック・テロを心配してみせる軽口まで飛び出す始末だった。 南京空港で最初に目についたのが、「世界に南京を知ってもらおう」のスローガン。香港からの一行の中には、車椅子に乗った曽憲梓・金利来集団主席、陳有慶・亜洲金融集団董事長など親北京の有力企業家の姿もあった。

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執筆者プロフィール
樋泉克夫
樋泉克夫 愛知大学教授。1947年生れ。香港中文大学新亜研究所、中央大学大学院博士課程を経て、外務省専門調査員として在タイ日本大使館勤務(83―85年、88―92年)。98年から愛知県立大学教授を務め、2011年より現職。『「死体」が語る中国文化』(新潮選書)のほか、華僑・華人論、京劇史に関する著書・論文多数。
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