饗宴外交の舞台裏
饗宴外交の舞台裏(65)

ルーマニア王子が日本外交に投げかけた難問

西川恵
執筆者:西川恵 2003年6月号
カテゴリ: 国際
エリア: ヨーロッパ

 ルーマニアのラドゥ王子が五月九日までの十日間、日本を初訪問した。ルーマニアは共和政体でありながら旧王族の国政参加に道を開いたばかりで、日本政府に「君主制でない国の旧王族をどう遇するか」という儀典(プロトコール)上の難問を突きつけた。 ラドゥ王子は日本滞在中、遠山文部科学相、土屋外務政務官らと懇談する一方、「ルーマニアの外交と国家安全保障」というテーマで講演するなど精力的に各界の人々と交流した。肩書は「ルーマニア政府特別代表」だが、日本人にルーマニアをより知ってもらい、投資、貿易を促進するのが目的のいわゆる親善大使。欧州、中東諸国以外で訪れたのは日本が初めてで、日本への期待が窺われた。 ラドゥ王子は元は王族でない。一九六〇年、両親がブカレスト大学医学部の教授という家庭に生まれた。知識人階級で比較的恵まれていたが、チャウシェスク政権時代は「暗黒の日々だった」という。ブカレスト映画演劇大学で舞台芸術を修めて五年後の八九年、東欧革命で同政権が崩壊した。 英、仏に留学していたとき、四七年以来、国を追われスイスで暮らしていた元ルーマニア国王、ミハイ一世(八一)の長女、マルガリータ王女と出会い、九六年に結婚した。

この記事は役に立ちましたか?
フォーサイト最新記事のお知らせを受け取れます。
この記事をSNSにシェアする
執筆者プロフィール
西川恵
西川恵 毎日新聞客員編集委員。1947年長崎県生れ。テヘラン、パリ、ローマの各支局長、外信部長、論説委員を経て、今年3月まで専門編集委員。著書に『エリゼ宮の食卓』(新潮社、サントリー学芸賞)、本誌連載から生れた『ワインと外交』(新潮新書)、『国際政治のゼロ年代』(毎日新聞社)、訳書に『超大国アメリカの文化力』(岩波書店、共訳)などがある。2009年、フランス国家功労勲章シュヴァリエ受章。本誌連載に加筆した最新刊『饗宴外交 ワインと料理で世界はまわる』(世界文化社)が発売中。
comment:0
icon
  • 記事の閲覧、コメントの投稿には、会員登録が必要になります。
フォーサイトのお申し込み
逆張りの思考
注目記事ランキング
  • 24時間
  • 1週間
  • f
  • 新着
  • 高評価
  • コメント数順