灼熱――評伝「藤原あき」の生涯(74)

執筆者:佐野美和 2019年10月20日
タグ: アメリカ 日本
エリア: 北米 アジア
まだ戦争前、家族そろって洋行から帰国した頃(下関市「藤原義江記念館」提供)
 

 昭和28(1953)年8月の夜、赤坂氷川町の静かな高台に興奮した女の高い声が漏れ聞こえた。それは氷川神社並びの藤原歌劇研究所からで、藤原あきの声であった。

〈いつも大声を出したことのないママが、「あの手紙は裏庭へ捨てました。そんなに大事なら探しに行ってらっしゃい」といい、困ったパパは廊下をウロウロしてました〉(『文藝春秋』「昭和を熱くした50人」平成2年2月1日号)

 藤原義江夫妻を息子と同じくパパママと呼ぶ、居候の妹尾河童の証言だ。

カテゴリ: カルチャー
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執筆者プロフィール
佐野美和(さのみわ) 政治キャスター。東京都八王子市出身。株式会社チェリーブロッサムインターナショナル代表取締役。大学在学中、フジテレビの深夜番組として知られる『オールナイトフジ』のレギュラーメンバー「オールナイターズ」の一員として活躍した。1992年度ミス日本に選ばれる。TBSラジオのパーソナリティ、TBSラジオショッピングの放送作家を経て、1995年から2001年まで八王子市議会議員として活動。以後はタレントとしてテレビ出演のほか、講演会も精力的に行う。政治キャスターとしてこれまで600人以上の国会議員にインタビューしている。主な書籍に『アタシ出るんです!』(KSS出版)、『あきれたふざけた地方議員にダマされない!』(牧野出版)などがある。
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