2041年のAIは「幸福」を最適化するか?

Kai-Fu Lee, Chen Qiufan『AI 2041』

執筆者:植田かもめ 2022年1月16日
タグ: AI
 
グーグル中国法人トップも務めたリー・カイフーは、AI(人工知能)技術開発は一段落ついたと見つつも、単一目的の最適化にしか使われていないと指摘する。AIは人類の長期的な幸福に貢献する事ができるのか? SF作家とタッグを組んだリーが、SFプロトタイピングを用いてその問いに挑む。

 マーケティングや小売業界に馴染みのある方は「OMO」(Online Merges with Offline)という用語を聞いた事があるかもしれない。オンラインとオフラインを分けずに、実店舗でもECサイトでも顧客が途切れなく購買活動ができるようにする事を意味する用語である。特にモバイル決済の普及が進む中国ではこうした世界観を実現している企業が多い。

 現在では広く用いられているこのコンセプトを最初に提唱した人間として知られるのが、グーグル・チャイナの元代表であるリー・カイフー(李開復)だ。彼はマイクロソフトやアップルなどの企業でも役員を務めた経験を持ち、現在は中国でベンチャーキャピタルを経営している。過去には『AI世界秩序 米中が支配する「雇用なき未来」』(日本経済新聞出版)という著作も発表している。そして、彼がグーグルの元同僚でありSF作家であるチェン・チウファン(陳楸帆)と著した最新作が、本書『AI 2041: Ten Visions for Our Future』(AI2041:未来に向けた10のビジョン)である(原書は2021年の9月に発売)。

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カテゴリ: 社会
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執筆者プロフィール
植田かもめ(うえだかもめ) 洋書を中心とした書評家。Webメディアや雑誌への寄稿を行う。フィクション、アート、ビジネス、テクノロジー、科学などジャンル問わずに未訳本を紹介するブログ「未翻訳ブックレビュー」を運営。本業は経営やITのコンサルタント。
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