「戦争大統領・オランド」――フランスの軍事介入でテロ活発化の懸念

渡邊啓貴
執筆者:渡邊啓貴 2013年1月25日
カテゴリ: 国際

 1月11日にマリに軍事介入したフランス軍は北進し、翌日には中部の要衝地コンナを奪還、21日には同じく中部のディアバルを空爆と地上戦でイスラム武装勢力から奪取した。この攻撃は、「サーバル作戦」(サーバルはサハラ以南に分布するヤマネコ)と命名されている。1月23日現在の投入兵力は、陸軍2200名、空軍戦闘機8機、輸送機5機、偵察小型機2機、海軍艦船1艘、200名規模の特殊部隊とヘリコプターだった。

 オランド大統領は昨年春の大統領選挙キャンペーン中から人道支援的外交への積極姿勢を示唆していたが、実際にはシリアへの介入の可能性を強調しつつも、介入の決定は下さず、国内政治同様、外交でも強硬解決手段はとらない「調停者」として、どちらかというと不決断の印象を与えてきた。ところが、ここにきてマリへの軍事介入に踏み切り、「戦争大統領」という新たな顔を露にした。国内政治的にはオランド大統領の人気回復が目的であるという見方も強い。この介入についてはフランス国民の60%以上が支持している。軍事介入後の調査では、オランドの支持率も少し回復した。しかし野党保守派は大統領の即断による今回の軍事介入を激しく批判している。

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執筆者プロフィール
渡邊啓貴
渡邊啓貴 東京外国語大学大学院総合国際学研究院教授。1954年生れ。パリ第一大学大学院博士課程修了、パリ高等研究大学院・リヨン高等師範大学校客員教授、シグール研究センター(ジョージ・ワシントン大学)客員研究員、在仏日本大使館広報文化担当公使(2008-10)を経て現在に至る。著書に『ミッテラン時代のフランス』(芦書房)、『フランス現代史』(中公新書)、『ポスト帝国』(駿河台出版社)、『米欧同盟の協調と対立』『ヨーロッパ国際関係史』(ともに有斐閣)『シャルル・ドゴ-ル』(慶應義塾大学出版会)『フランス文化外交戦略に学ぶ』(大修館書店)『現代フランス 「栄光の時代」の終焉 欧州への活路』(岩波書店)など。
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