「ガザ完全撤退」に賭けるシャロン首相のもう一つの顔

執筆者:立山良司 2004年10月号
カテゴリ: 国際
エリア: 中東

一方的分離構想に与党リクード内から強烈な反発が起きているが、シャロン首相の強気は変わらない。対立のピークはこの秋。中東和平も新局面を迎える。「シャロンは民族の精神を裏切った」 タカ派のシンボルだったイスラエルのアリエル・シャロン首相(七六)が、右派から激しく突き上げられている。同首相が二〇〇五年末までにガザ地区から完全撤退するという一方的分離構想を打ち出したことへの強烈な反発だ。逆に労働党や和平支持派はシャロン構想に熱い視線を送り、シャロン氏は突然「和平推進派」の中心に位置してしまった。撤退が実現すればイスラエルが一方的に占領地から撤退する初のケースだ。それだけに政治的なマグニチュードは大きく、場合によってはシャロン首相が党首を務める与党リクードの分裂という事態もあるかもしれない。パレスチナ側でも期待と猜疑心が交錯し、新たな政治状況が生まれている。 シャロン首相が分離構想を最初に示唆したのは昨年十二月。「パレスチナ側が自らの責務を果たさないのであれば、イスラエルは安全保障上の措置としてパレスチナ人との関係を一方的に切り離す」と発言した。さらに今年二月、ガザからの全面撤退とヨルダン川西岸の孤立した一部ユダヤ人入植地を撤去する政策を打ち出し、一方的分離構想は中東和平問題の焦点となった。

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