インテリジェンス・ナウ
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中央銀行総裁の会話も盗聴 銀行スキャンダルの本場イタリアは健在

春名幹男
執筆者:春名幹男 2005年11月号
カテゴリ: 国際 金融
エリア: ヨーロッパ

 先進七カ国財務相・中央銀行総裁会議(G7)に続く、世界銀行・国際通貨基金(IMF)総会。世界のバンカーがワシントンに集結する年中行事である。 その最中の九月二十四日、イタリア銀行のアントニオ・ファツィオ総裁が突然、専用機で帰国してしまった。総裁は、二日前に就任したばかりのジュリオ・トレモンティ経済財務相に、世銀・IMF総会への代表権限を剥奪されたからである。 中央銀行総裁が国際会議開催中に急ぎ帰国するという前代未聞の事態の舞台裏では、イタリア検察当局がある重要な捜査を進め、ファツィオ総裁への辞任圧力が高まっていた。 発端になったのは、銀行買収をめぐるドタバタ劇だ。 買収の標的にされたのは、北部パドバのアントンベネタ銀行。買収争いを演じてきたのは、ミラノ南郊のロディにあるバンカ・ポポラーレ・イタリアーナ(BPI)とオランダの大手銀行ABNアムロ・ホールディングである。 ABNアムロの最高経営責任者(CEO)リークマン・グローニンク氏が今年三月、アントンベネタ銀行買収の意図をファツィオ総裁に明らかにして以後、争いが始まった。BPIも同じ買収工作を進めていたからだ。 実はファツィオ総裁とBPIのジャンピエロ・フィオラニCEOは以前から個人的に親しい関係にあり、総裁はグローニンク氏にフィオラニ氏と会うよう勧めた。だが、ロディでのトップ会談は事実上決裂、双方は別々に買収を加速させた。

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執筆者プロフィール
春名幹男
春名幹男 1946年京都市生れ。大阪外国語大学(現大阪大学)ドイツ語学科卒業。共同通信社に入社し、大阪社会部、本社外信部、ニューヨーク支局、ワシントン支局を経て93年ワシントン支局長。2004年特別編集委員。07年退社。名古屋大学大学院教授を経て、現在、早稲田大学客員教授。95年ボーン・上田記念国際記者賞、04年日本記者クラブ賞受賞。著書に『核地政学入門』(日刊工業新聞社)、『ヒバクシャ・イン・USA』(岩波新書)、『スクリュー音が消えた』(新潮社)、『秘密のファイル』(新潮文庫)、『スパイはなんでも知っている』(新潮社)などがある。
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