グルジアNATO加盟の阻止を図るロシアの「独立派」利用

執筆者:大木俊治 2008年5月号
カテゴリ: 国際
エリア: ロシア

[モスクワ発]旧ユーゴスラビア・セルビアからの独立を宣言したコソボ自治州の動きが、世界各地の独立派民族勢力に波及している。中でも注目されるのが、旧ソ連・グルジアからの分離独立を求める南オセチア自治州とアブハジア自治共和国の民族勢力だ。いずれもロシアの庇護下にあるため、ロシアの影響下から脱するため北大西洋条約機構(NATO)への加盟を目指すグルジア本国との対立は今後、紛争の再燃につながる可能性もある。 グルジア(キリスト教グルジア正教)は、一九九一年の独立当初から民族や宗教の違う三地域を抱えていた。アブハジア自治共和国(イスラム教)、南オセチア自治州(キリスト教ロシア正教など)、アジャリア自治共和国(イスラム教)がそれだ。こうした異質の勢力を抱えたままグルジアが独立したのは、旧ソ連時代に引かれた境界線の名残り。二〇〇三年の民衆蜂起「バラ革命」で政権を握ったグルジアのサーカシビリ大統領は、アジャリアから独立派勢力を追放し、グルジアへ取り込んだ。残る二地域の「制圧」は、今年一月の大統領選で再選を果たしたサーカシビリ政権の大きな課題になっている。 アブハジアは九二年に「主権宣言」し、鎮圧のため侵攻したグルジア軍との戦闘に勝って事実上の独立状態になった。この地域を統括するバガプシ氏は住民の選挙で選ばれた「大統領」だ。一方、南オセチア自治州は、隣接するロシア領の北オセチア共和国と同一民族で、住民の多くがロシア国籍を持つなどロシアへの帰属意識が強い。やはりグルジア軍との戦闘(九〇―九二年)を経て事実上の独立状態にある。いずれの地域も今は休戦状態にあるが、ロシア軍が「平和維持軍」として駐留し、グルジア政権の統治は及んでいない。

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