インテリジェンス・ナウ
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イスラエル新政権の要人を米政府が入国させたくなかった因縁

春名幹男
執筆者:春名幹男 2009年5月号
カテゴリ: 国際
エリア: 中東 北米

 ウジ・アラド氏。イスラエル対外情報機関モサドの元情報(分析)局長で、ベンヤミン・ネタニヤフ新首相が次期国家安全保障会議議長に指名した新政権のキーマンだ。 三月中旬、米政府がアラド氏からの入国ビザ申請をいったん拒否する騒ぎがあった。 戦略的同盟国である米国とイスラエル。モサドと米中央情報局(CIA)も緊密な情報協力を続けてきた。しかし両国政府は互いに拭い難い猜疑心を持つ。 アラド氏は、ワシントンで最強のロビイ組織、アメリカ・イスラエル広報委員会(AIPAC)を舞台にしたスパイ事件で、米連邦捜査局(FBI)から事件への関与を指摘されていた。 この事件では、元米国防総省情報分析官ローレンス・フランクリン被告がAIPACの元外交政策部長ら二人と在米イスラエル大使館参事官に国家機密を漏らし、禁固十二年七月の実刑判決を受けた。フランクリン被告はアラド氏とも接触、アラド氏が関係する団体の招待でイスラエルを訪問した事実もある。FBIは「防諜」の立場から同氏へのビザ発給に反対したのだ。 アラド氏はネタニヤフ首相に近く、一九九七年にモサドを引退した後、ネタニヤフ氏の外交顧問を務めてきた。 実はネタニヤフ首相自身に対しても、米民主党のリベラル派は強い不信感を抱いている。クリントン大統領のパレスチナ和平提案に強く抵抗しただけではない。例のセックススキャンダルでも、ネタニヤフ氏の何らかの関与を疑う向きもあるのだ。

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執筆者プロフィール
春名幹男
春名幹男 1946年京都市生れ。大阪外国語大学(現大阪大学)ドイツ語学科卒業。共同通信社に入社し、大阪社会部、本社外信部、ニューヨーク支局、ワシントン支局を経て93年ワシントン支局長。2004年特別編集委員。07年退社。名古屋大学大学院教授を経て、現在、早稲田大学客員教授。95年ボーン・上田記念国際記者賞、04年日本記者クラブ賞受賞。著書に『核地政学入門』(日刊工業新聞社)、『ヒバクシャ・イン・USA』(岩波新書)、『スクリュー音が消えた』(新潮社)、『秘密のファイル』(新潮文庫)、『スパイはなんでも知っている』(新潮社)などがある。
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