金大中「豹変」の正しい読み方

執筆者:黒田勝弘 2001年8月号
カテゴリ: 国際
エリア: 朝鮮半島

教科書問題で、なぜ韓国サイドは「親日」の流れを捨てたのか。収拾のチャンスもあえて見送った背景には、政権の弱体化がある――[ソウル発]ソウルの外交筋によると、韓国と日本の外交摩擦に発展している教科書問題は八月下旬以降は沈静化する見通しという。理由は日本国内での教科書採択作業が八月中旬には終わり、その採択状況が明らかになるからだ。その結果、韓国が官民挙げて大騒ぎしてきた話題の扶桑社版「新しい歴史教科書」の採択率が意外に低いことが分かり、反発あるいは怒りのガスが抜けることが予想されるというのだ。「新しい歴史教科書」の採択率は今のところ「限りなくゼロに近い」(執筆関係筋)という見通しである。これは韓国としては振り上げたコブシを下ろす大きなチャンスになる。「とくに、いつまでも日本し対立し、反日政策ばかりやっているわけにはいかない韓国政府にとっては収拾へのきっかけになる」(外交筋)というわけだ。 採択率が低いことは日本では当初から予想されていた。したがって「新しい歴史教科書」関係者たちは当初の最大目標を一〇%といってきた。 どんな製品にしろ、既存のマーケット(市場)への新製品の新規参入は非常に難しい。今回の中学歴史教科書の場合、既存の七種類の教科書(製品)に対抗し新しい教科書(製品)が一つ、市場に入り込もうとしたわけだが、やはり既存の七社のカベは厚かった。

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執筆者プロフィール
黒田勝弘 産経新聞ソウル駐在客員論説委員。1941年生れ。共同通信ソウル支局長、産経新聞ソウル支局長兼論説委員を経て現職。2005年度には日本記者クラブ賞、菊池寛賞を受賞。在韓30年。日本を代表するコリア・ウォッチャーで、韓国マスコミにも登場し意見を述べている。『“日本離れ”できない韓国』(文春新書)、『ソウル発 これが韓国主義』(阪急コミュニケーションズ)など著書多数。
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