アメリカ建国の精神と通底するアーミッシュの信仰

執筆者:立山良司 2002年1月号
カテゴリ: 国際 文化・歴史
エリア: 北米

 アーミッシュといえば、ハリソン・フォード主演の映画『刑事ジョン・ブック―目撃者』でその存在を知った人も多いだろう。殺人事件を目撃したアーミッシュの少年と刑事との物語には、信仰に生きるアーミッシュのコミュニティの様子がいきいきと描かれていた。 キリスト教の一派アーミッシュは、現代を拒否している。特に厳格な戒律を守るオールド・オーダー・アーミッシュは電気を使わず車も運転しない。男性は黒いつば広帽を被り、女性も丈の長いスカートとエプロンを着けている。そんな彼らが車の代わりに馬車に乗って農作業に行く光景は、ほのぼのとノスタルジックな感じすらする。 アーミッシュは十六世紀の宗教改革時代に現れたプロテスタントの一派「再洗礼派」の流れをくんでいる。再洗礼派とは、まだ信仰心が確立していない幼児期の洗礼を無効とし、成人になった後、自らの意思で改めて洗礼を受けるべきだと主張したグループだ。この再洗礼派の中核メノナイト(メノー派)に属していたスイスの牧師ヤコブ・アマンが十七世紀、より純粋な信仰生活を求めて分離したのが「アマン派」、つまりアーミッシュである。 メノナイトやアーミッシュの基本にあるのは、終末論に基づく信仰の純粋性だ。終末論では神による審判の日は近いと考えるため、現世よりも審判とその後の来世に向けた信仰のあり方が重視される。その結果、聖書に基づいた純粋な宗教生活が追求され、一般社会から分離した独特なコミュニティを作る傾向が強まる。アーミッシュが世俗化した現代社会を最大限に回避しているのも、信仰の純粋さを守るためだ。

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