変わる病院 「患者本位」と「企業型経営」

執筆者:水木楊 2002年12月号
カテゴリ: 社会 金融
エリア: 日本

 病院は病んでいる。厚生労働省の調査によると、全国千百二十四の公的病院のうち経営が赤字のところが六九・一%と七割近くに達している(平成十二年度)。医療サービス部門の収支を示す「医業収支比率」は平均九三・九%。百億円の費用を掛けた場合、収益は九十三億九千万円。六億一千万円の赤字が出る勘定だ。 ところが、全国で最も経営内容が悪いという烙印を押された公立病院を、二年で黒字に変えた人がいる。香川県坂出市立病院の院長、塩谷泰一氏(五四)である。 同病院は一九四七年の設立。病床数は二百十六。八つの診療科、三病棟に分かれている。 少し古くなった建物だが、職員や看護婦がきびきびと働いている様子が分る。院長室で塩谷氏はテーブルの上にノート型パソコンを置いてグラフや表などを示しながら、二時間にわたるインタビューに応じてくれた。 塩谷氏が上司の香川医科大学学長・入野昭三氏に呼ばれ、坂出市立病院の院長就任を求められたのは、平成三年夏のことだった。坂出市立病院の経営内容についてはほとんど予備知識がなかった。恩師の言葉は命令にひとしい。その場で就任要請を受けた。坂出市の収入役が病院の事務局長を伴って挨拶に来たが、赤字のアの字も口にしなかった。学長が口止めしたのだ。

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