ブッシュ氏にのしかかる兄の「負の遺産」

足立正彦
執筆者:足立正彦 2015年5月19日
エリア: 北米 中東

 2016年大統領選挙の共和党候補指名獲得争いには、現時点で6名が出馬を正式に表明している。今後、さらに複数の有力政治家の出馬表明が行われると見られているが、最も注目されている1人は、父、兄に続いて一族から3人目の大統領を目指すジェブ・ブッシュ元フロリダ州知事である。だが、最近、正式の出馬表明を控え、ブッシュ氏のある一連の発言が非常に注目される事態が生じた。それはイラク政策を巡る発言であり、兄のジョージ・W.ブッシュ大統領が決断、遂行したイラク戦争について、ブッシュ氏は自らの見解を説明するうえで二転三転してぶれる事態を露呈したのである。

 ブッシュ政権は、サダム・フセイン大統領が大量破壊兵器(WMD)を保有しているとして、2003年3月に対イラク武力行使に踏み切った。だが、開戦の大義名分であったWMDは、フセイン体制打倒後にイラク国内ではその存在が確認されず、WMDに関する情報自体が誤りであったことが判明したのであった。イラク戦争ではイラク国民に多数の犠牲者が出るとともに、米国側にも多くの米兵の死傷者の発生と戦費負担による巨額の財政赤字の増大をもたらした。その結果、2008年大統領選挙で、民主党候補であったオバマ氏はイラク撤退を主要争点に位置付けて大統領の座を獲得したのである。つまり、オバマ大統領の誕生は、イラク戦争に対する米有権者の反発がもたらしたということもできる。

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執筆者プロフィール
足立正彦
足立正彦 住友商事グローバルリサーチ シニアアナリスト。1965年生れ。90年、慶應義塾大学法学部卒業後、ハイテク・メーカーで日米経済摩擦案件にかかわる。2000年7月から4年間、米ワシントンDCで米国政治、日米通商問題、米議会動向、日米関係全般を調査・分析。06年4月より現職。米国大統領選挙、米国内政、日米通商関係、米国の対中東政策などを担当する。
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