難民問題とドイツ(5)「国際安保会議」で垣間見えたメルケル首相の「苦悩」

ドイツ北部ハノーバーの空港に到着したシリア難民。メルケル首相の頭痛の種? (C)AFP=時事

 

 2017年の「国際安全保障会議」は2月17日、例年どおりミュンヘンで始まった。ところが先日、同会議の公式サイトを開いた私は、すこし大袈裟に言うと腰が抜けんばかりに驚いてしまった。サイトのフロントページが一変していたからである。拙稿(3)の「事務局ホームページの混乱」で示したように、2016年には第1面の上方中央に「戦争はいやだ(Nein Krieg)」とか、「NATO(北大西洋条約機構)じゃ平和はありっこない(Kein Frieden mit der NATO)」とか書きなぐった横長の写真があり、その右側に「戦争、貧困、逃走――NATO戦争会議に反対」と大書した「NATO安全保障会議に反対する行動連盟」の写真が掲載されていたはずである。実際、私はそれらを保存している。

カテゴリ: 政治 軍事・防衛
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執筆者プロフィール
佐瀬昌盛(させまさもり) 防衛大学校名誉教授。1934年生れ。東京大学大学院修了。成蹊大学助教授、防衛大学校教授、拓殖大学海外事情研究所所長などを歴任。『NATO―21世紀からの世界戦略』(文春新書)、『集団的自衛権―論争のために』(PHP新書)など著書多数。
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