裁判資料から浮かび上がる中国「脱北ブローカー」の実態

執筆者:中澤穣 2022年12月13日
エリア: アジア
中国(手前)と北朝鮮(向こう岸)の国境を流れる図們江に架かる橋。だが脱北者たちは、川を歩いて渡る (C)AFP=時事
新型コロナで国境の往来が制限されても、中朝の結びつきは切れない。北朝鮮からの「脱北」にはブローカーが介在している。摘発されたブローカーの裁判資料が、その実態を物語る。

 11月中旬、韓国の北朝鮮専門ネットメディア『デイリーNK』は、北朝鮮と接する中国遼寧省丹東市だけで8万人もの北朝鮮人労働者が確認された、と報じた。中国当局が新型コロナウイルス対策のために全住民のPCR検査を行った際に発覚し、当局者もその多さに当惑したという。

 国連は2019年、海外にいる北朝鮮労働者を約10万人と推計しているが、実際はさらに多い可能性がある。この報道が事実であれば、中朝の経済的、人的な結びつきが想像以上に(中国の地元当局者も当惑するほどに)密接であることを示している。

カテゴリ: 社会 政治
フォーサイト最新記事のお知らせを受け取れます。
執筆者プロフィール
中澤穣(なかざわみのる) 1977年生まれ。東京新聞外報部デスク。早稲田大学政治経済学部卒、一橋大学言語社会研究科修了。東京新聞社会部(司法担当)や中国総局長などを経て現職。
  • 24時間
  • 1週間
  • f
back to top