主役になれない中国自動車メーカー――世界最大市場の光と影(下)

執筆者:高村悟 2011年1月27日
カテゴリ: 国際 経済・ビジネス
エリア: 中国・台湾
市場は世界最大になったが……(上海のイベントで展示されたフェラーリ)(c)AFP=時事
市場は世界最大になったが……(上海のイベントで展示されたフェラーリ)(c)AFP=時事

 1月14日、上海市浦東地区のシンボルともいえる467.9メートルのタワー、東方明珠の真下に15台のフェラーリが並べられ、高級車を見慣れた中国人の目も引いた。中国でのフェラーリ納車999台目を記念するイベントだ。999台目はミッドシップスポーツカー「458イタリア」で、価格は約3000万円。中国では2010年に300台のフェラーリが売れ、1250台の米国とはまだ差があるが、フェラーリの主要市場のひとつに浮上した。  このニュースにつられるように、独ポルシェのマティアス・ミューラー最高経営責任者(CEO)はポルシェを中国で生産する検討に入ったことを明らかにした。中国ではすでに独BMW、独ダイムラー(メルセデス)が現地生産しており、世界のプレミアム・カーにとって、中国は最も重要な市場と位置づけられ始めた。1台数千万円の高級車から数十万円の低価格小型車まで、中国市場に拠点を持たない世界の主要自動車メーカーはもはや皆無といってよい。

「外資規制」で急成長した名門国有メーカー

 世界から強い自動車メーカーが殺到する中国市場で中国資本のメーカーはどうしているのか?
 中国の自動車メーカーの動きはやや複雑だ。第一汽車、東風汽車、上海汽車など名門国有自動車メーカーは、1985年の上海大衆(フォルクスワーゲン)設立に始まり、一汽トヨタ、上海通用(GM=ゼネラル・モーターズ)、東風日産など外資と合弁を設立し、合弁を通じて成長してきた。中国政府が外資からの技術、資本の導入によって自動車産業を育成しようとしたためだ。外資メーカーは合弁以外の選択肢がなかったことから、合弁形態の拘束を嫌いながらも受け入れざるを得なかった。奇妙なことにこうした「技術と市場の交換」と呼ばれる巧妙な外資規制は、中国が世界貿易機関(WTO)に加盟して10年目を迎え、2年連続で世界最大の自動車市場になった今日も続いている。
 上海大衆などの合弁は03年頃からの中国の需要急増に伴って、異常なほどの勢いで成長。今や本国市場を上回るケースが相次いでいる。大きな話題になったが、日産自動車は東風日産、鄭州日産の中国合弁2社と日本から輸出した高級車「インフィニティ」などの合計の販売台数が前年比35.5%増の102万3638台となり、日本と米国という2大市場を抜いて、中国が同社にとって最大の市場となった。
 フォルクスワーゲンも上海大衆、一汽大衆の合弁2社の合計で192万台を販売し、中国市場が本国市場を上回っている。GMは米国市場が回復し222万台を売ったが、中国市場では上海GMの好調によって235万台を販売しており、中国が最大市場となった。中国で外資系が200万台の大台に乗せたのは初めてだ。

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