「政治」を再定義するために

宇野重規
執筆者:宇野重規 2012年1月23日
カテゴリ: 政治 社会
エリア: 日本

 震災と原発事故への対応にあけくれた1年であった。2011年は日本にとって、大きな転機となった年として記憶されるであろう。ただし、巨大な不幸にもかかわらず、そこから少しでも前に進もうとする始まりの1年であったのか、それとも災害の重みに耐えかねて、下り坂を転げ落ちる決定的な1年であったかは、まだわからない。前者であって欲しいと思ってこの1年を過ごしたが、後者ではないかという思いも脳裏をよぎる。
 そこで何よりも問われたのは、「政治」であろう。政治とはいったい何なのか、何の役に立つものなのか。限られた人的・物的資源や財政制約のなかで、それでも国民のもてる力や思いを災害復興のために結集しなければならない。そのためのリーダーシップをとるのが政治の役割であろうと誰もが期待した。そしてその期待はいまや虚しいものになりつつある。いわゆる「政治」とは、どこか国民の実情とずれたところで展開されるものではなかろうか。そのような疑念が蔓延しつつある。

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執筆者プロフィール
宇野重規 1967年生れ。1996年東京大学大学院法学政治学研究科博士課程修了。博士(法学)。東京大学社会科学研究所教授。専攻は政治思想史、政治哲学。著書に『政治哲学へ―現代フランスとの対話』(東京大学出版会、渋沢・クローデル賞ルイ・ヴィトン特別賞)、『トクヴィル 平等と不平等の理論家』(講談社、サントリー学芸賞)、『〈私〉時代のデモクラシー』(岩波新書)、共編著に『希望学[1]』『希望学[4]』(ともに東京大学出版会)などがある。
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