「信頼醸成」だけでは動かない普天間問題

執筆者:飯塚恵子 2012年2月29日
カテゴリ: 外交・安全保障 政治
エリア: 日本

 沖縄の米軍普天間飛行場の移設問題をめぐり、政府と沖縄の双方は「打つ手なし」のまま、文字通りの膠着状態に陥っている。現状では、沖縄は2006年の日米合意をそのまま受け入れるのは極めて困難な情勢だ。政府に今必要なのは、この冷徹な現実に向き合い、沖縄、そして米国と、それぞれ柔軟性を持った話し合いを始めることである。

野田首相の沖縄初訪問

野田首相は初めて沖縄を訪れたが……(C)時事
野田首相は初めて沖縄を訪れたが……(C)時事

 野田首相は2月26、27の両日、昨年9月の就任後、初めて沖縄を訪問した。初日は、ひめゆりの塔など沖縄戦や沖縄返還にかかわる史跡などを次々視察し、夜には仲井真弘多沖縄県知事と2人きりで約2時間沖縄料理店で会食した。翌27日には、朝9時前から知事と正式に会談後、県議会、自衛隊、経済団体、米軍など、「米軍基地問題」と「経済振興」という沖縄の2大課題にかかわる主要な関係者と場所を一気にめぐり、沖縄を知ろうとする真剣な姿勢をアピールした。  27日朝の会談は友好ムードではあった。だが、首相が普天間飛行場について、「日米両国は(名護市)辺野古への移設が有効だと考えている」と沖縄県内での移設への理解を求めたのに対し、知事は「県外移設を求める立場に変わりはない。辺野古への移設は時間がかかる」と答え、これまでの姿勢を崩さなかった。  首相は会談後、「振興と負担軽減を確実にやっていくことが信頼醸成につながり、最終的な(普天間の県内移設への)ご理解につながると考えている」と記者団に語った。これは、1996年に日米が普天間の全面返還に合意して以降、2006年の米軍再編決定を経ても政府が一貫してとる普天間移設を進める基本的な考え方だ。しかし、様々な曲折を経て状況が変化した今、この「信頼醸成」の方針だけでは、今の沖縄は動かないだろう。

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