陸自「ガラパゴス状態」からの脱却なるか?

柳澤協二
執筆者:柳澤協二 2013年8月26日
カテゴリ: 外交・安全保障
エリア: 日本

 報道によれば、陸上自衛隊は、海空自衛隊や米軍と連接できるよう、野外通信機材を更新する計画のようだ。離島防衛などを考慮した「統合運用の鍵は通信だ」と言う。これは、まともな見解だが、裏返せば、陸自通信網が未だに他と連接できないガラパゴス状態で放置されていたことになる。正しい判断も、遅ければ批判の対象になる。

 私が現役当時、陸自野外通信機の更新が25年計画と聞いて仰天した記憶がある。息長く一定量を調達することで生産ラインを維持するという。装備生産に関わる中小メーカーの保護は、産業政策としてはともかく、防衛政策の優先事項ではない。退職自衛官の再就職先を長期に確保できる、との思惑もあっただろう。

 日進月歩の通信技術の中で、通信機は数年に1度更新される。その結果、陸自にあっては、「最新」の通信機器が全部隊に行き亘ることはなかった。マニアを喜ばせるパレード用の戦車や火砲を持った「見栄えのいい」軍隊は、それを使うための通信や補給には金をかけない「戦えない」軍隊であった。

 もっと言えば、ソ連が崩壊し、敵の大部隊による侵攻が想定されない今日、戦車・火砲が標的に命中させる技量はあっても、標的がどこにいるのか、住民にまぎれたゲリラであれば、命中させていいのかどうかも分からない。

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執筆者プロフィール
柳澤協二
柳澤協二 国際地政学研究所副理事長。1946年東京都生れ。70年東京大学法学部卒業後、防衛庁入庁。長官官房長、防衛研究所所長などを歴任。2004年4月から09年9月まで官房副長官補。
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