クリミア問題の「田舎芝居」と「情報戦」

国末憲人
執筆者:国末憲人 2014年3月17日

 クリミア自治共和国で帰属を問う、いわゆる「住民投票」が3月16日実施され、この文章が出る時にはすでに結果が出ているかも知れない。この投票は、今回の一連の紛争の中で1つの節目と受け止められているが、一方でどんな結果が出るか、実施する前からわかっている。選挙監視の態勢も整わない中で投票の格好だけさせて、それがさも民意を反映しているかのように演出した田舎芝居だ。実は節目でも何でもなく、ロシアの侵略の一過程に過ぎない。

 そもそも、クリミア半島の事実上の占領自体、へたくそな芝居だった。2月末から所属不明の兵士たちが「治安を守る」という名目で空港などを占拠した。彼らは、記章を付けず、旗も掲げていない。どこから沸いて出たかわからないエイリアンによって、半島は制圧されているのである。

 と言っても、わからないと思っているのは当の本人たちだけで、ロシア軍であるのはバレバレだ。それを、ロシア側は認めようとしない。ロシアの言い分を真に受けてか、もともとロシア当局の意向を受けてか、一部のメディアは彼らを「地元の自警団」「地元ミリタリーショップで手に入れたボロの軍服を着ている民兵ら」などと伝えている。

 

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執筆者プロフィール
国末憲人
国末憲人 1963年生れ。85年大阪大学卒。87年パリ第2大学新聞研究所を中退し朝日新聞社に入社。富山、徳島、大阪、広島勤務を経て2001-04年パリ支局員。外報部次長の後、07-10年パリ支局長を務め、GLOBE副編集長、本紙論説委員のあと、現在はGLOBE編集長。著書に『自爆テロリストの正体』(新潮新書)、『サルコジ―マーケティングで政治を変えた大統領―』(新潮選書)、『ポピュリズムに蝕まれるフランス』『イラク戦争の深淵』(いずれも草思社)、『ポピュリズム化する世界』(ダイヤモンド社)、共著書に『テロリストの軌跡―モハメド・アタを追う―』(草思社)などがある。
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