国際論壇レビュー
国際論壇レビュー

小泉首相の「ナショナリズム」を懸念する海外報道の「一面性」

執筆者:田中明彦 2001年6月号
カテゴリ: 国際

 小泉純一郎政権が誕生して一カ月ほどたった。日本国内での圧倒的な人気は海外でも注目されている。とはいえ、世界的にみれば、小泉政権の誕生もいくつかあるさまざまなニュースの一つのテーマに過ぎない。 この一カ月は、他を圧するようなテーマはあまり見られなかった。長期的にいえば、NMD(米本土ミサイル防衛)構想とTMD(戦域ミサイル防衛)構想を一体化してミサイル防衛とする方針をブッシュ政権が示したが、こうしたアメリカの軍事戦略の展開が重要性をもっているように見える。日本を見るステレオタイプ 海外から日本を見る眼にはある種のステレオタイプが常に存在する。その一つのタイプは、「改革者」と「ナショナリスト」という二項対立である。日本政治の「改革者」は、既得権益を打破する人であって、「新しい」勢力である。この「新しい」勢力は、民主的であり、国際的であり、古いシンボルであるナショナリストとは反対の勢力であるとみられている。したがって、このステレオタイプからすれば、小泉首相はやや捉えがたい「現象」ということになるようである。 たとえば『ニューヨーク・タイムズ』紙社説は、「小泉首相は、経済的課題を取り上げるのでなく、日本の戦後の憲法、とりわけ永遠に戦争を放棄した条項を書きかえようとしている」と指摘し、「大変な経済危機に見舞われている時に、世界の中での軍事的役割を再定義しようとするのは最も不必要なことだ」と論じている。

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