国連イラン制裁の現場から(5)イランのミサイル開発:北朝鮮との違い

鈴木一人
執筆者:鈴木一人 2016年2月17日
カテゴリ: 国際 外交・安全保障
エリア: 中東 朝鮮半島

 北朝鮮の「事実上のミサイル」と言われる人工衛星の打ち上げが世間を騒がせたが、北朝鮮とイランは長い間、何らかの協力関係にあり、ミサイル技術に関しては北朝鮮からイランに流出しているという噂が絶えない。
 確かにイラン・イラク戦争の際には北朝鮮がイランにミサイル技術の支援をしたことは確認されており、その後も継続的に技術協力関係があった形跡はあるが、2007年ごろから北朝鮮とイランの間の関係はそれほど濃密なものではなくなり、それぞれ独自の路線を歩んでいるものと考えられる。もちろん、水面下で何らかの協力関係がある可能性は否定できないが、両者のミサイル開発戦略や技術的方向性を見ていると、だんだんと共通性が失われているように思われる。

イスラエルを射程に

 イランのミサイル開発戦略を見ると、その目標は長距離の射程というよりも、着実に重い弾頭を運搬できるミサイルの開発を目指しているように見える。イランの主力ミサイルはシャハブ3とセジルであるが、これらはイスラエルを射程に入れることを目的として開発されたミサイルである(下図参照。なおこの図は2009年当時のものである。またこの他にSafirとSimorghという衛星打ち上げ用のロケットがある)。現時点でのイランのミサイル戦略では、アメリカ本土を射程に入れた長距離ミサイルの開発は目標となっておらず、その点で北朝鮮とは大きな違いがある。また、短距離ミサイルではあるがファテフ110ミサイルは量産されており、その技術はイスラエルと対立するヒズボラやハマスにも移転されていると考えられている。

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執筆者プロフィール
鈴木一人
鈴木一人 すずき・かずと 北海道大学大学院法学研究科教授。1970年生まれ。1995年立命館大学修士課程修了、2000年英国サセックス大学院博士課程修了。筑波大学助教授を経て、2008年より現職。2013年12月から2015年7月まで国連安保理イラン制裁専門家パネルメンバーとして勤務。著書にPolicy Logics and Institutions of European Space Collaboration (Ashgate)、『宇宙開発と国際政治』(岩波書店、2012年サントリー学芸賞)、『EUの規制力』(日本経済評論社、共編)、『技術・環境・エネルギーの連動リスク』(岩波書店、編者)などがある。
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