国連イラン制裁の現場から(5)イランのミサイル開発:北朝鮮との違い

 北朝鮮の「事実上のミサイル」と言われる人工衛星の打ち上げが世間を騒がせたが、北朝鮮とイランは長い間、何らかの協力関係にあり、ミサイル技術に関しては北朝鮮からイランに流出しているという噂が絶えない。
 確かにイラン・イラク戦争の際には北朝鮮がイランにミサイル技術の支援をしたことは確認されており、その後も継続的に技術協力関係があった形跡はあるが、2007年ごろから北朝鮮とイランの間の関係はそれほど濃密なものではなくなり、それぞれ独自の路線を歩んでいるものと考えられる。もちろん、水面下で何らかの協力関係がある可能性は否定できないが、両者のミサイル開発戦略や技術的方向性を見ていると、だんだんと共通性が失われているように思われる。

カテゴリ: 軍事・防衛
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執筆者プロフィール
鈴木一人(すずきかずと) すずき・かずと 東京大学公共政策大学院教授 国際文化会館「地経学研究所(IOG)」所長。1970年生まれ。1995年立命館大学修士課程修了、2000年英国サセックス大学院博士課程修了。筑波大学助教授、北海道大学公共政策大学院教授を経て、2020年より現職。2013年12月から2015年7月まで国連安保理イラン制裁専門家パネルメンバーとして勤務。著書にPolicy Logics and Institutions of European Space Collaboration (Ashgate)、『宇宙開発と国際政治』(岩波書店、2012年サントリー学芸賞)、編・共著に『米中の経済安全保障戦略』『バイデンのアメリカ』『ウクライナ戦争と世界のゆくえ』『ウクライナ戦争と米中対立』など多数。
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