軍事のコモンセンス (7)

「集団的自衛権行使」と「集団安全保障措置」の相違

 自衛隊退官直後の20年ほど前まで、筆者はこの2つの違いを全く知らなかった。あるきっかけでそこに相違があることを知り、防衛研修所教官であった西岡朗先生や参院法制局第3部長であった弁護士・播磨益夫先生からご指導を戴くようになった。おふたりとも今は故人となられたが、立派な研究者であられた。筆者自身もご両方のご指導の下、少しは勉強をすすめ、「これからは集団安全保障時代」ということをあちこちで発言するようになった。
 しかし、そんなことをいうと「国連が全く機能していないことは君でも分かるだろう」と殆どの人から無視された。「PKOが集団安全保障だということは認めるが、あれは武力行使はしないんだよ」ともいわれた。

カテゴリ: 政治 軍事・防衛
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執筆者プロフィール
冨澤暉(とみざわひかる) 元陸将、東洋学園大学理事・名誉教授、財団法人偕行社理事長、日本防衛学会顧問。1938年生まれ。防衛大学校を卒業後、陸上自衛隊に入隊。米陸軍機甲学校に留学。第1師団長、陸上幕僚副長、北部方面総監を経て、陸上幕僚長を最後に1995年退官。著書に『逆説の軍事論』(バジリコ)、『シンポジウム イラク戦争』(編著、かや書房)、『矛盾だらけの日本の安全保障』(田原総一朗氏との対談、海竜社)。
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