風が時間を
風が時間を(23)

まことの弱法師(23)

徳岡孝夫
執筆者:徳岡孝夫 2018年2月24日
カテゴリ: 国際 社会 文化・歴史
エリア: 北米 日本

 留学生の世話をする係りの人が「写真の単位も取っておきなさい。論文を書く必要がないし、カメラは日本の得意な分野だから」というので、私は写真の単位も取った。隣に暗室の付いた教室だった。50数年前の昔、日本では1眼レフが出始めた頃の話である。

 最初は光やレンズについて講義がある。カメラマンでもない私は初めてhyperfocal distance(過焦点距離)などという英語を習った。対象が一定の距離以上になると焦点が無限大になる。理論から始めて、学期の終わりにはカラーフィルム(アンスコカラー)の現像まで行く予定になっていた。3週間ほど進んだところでテストがあった。その翌週、ドゥマレット先生はクラスを見渡して言った。

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執筆者プロフィール
徳岡孝夫 1930年大阪府生れ。京都大学文学部卒。毎日新聞社に入り、大阪本社社会部、サンデー毎日、英文毎日記者を務める。ベトナム戦争中には東南アジア特派員。1985年、学芸部編集委員を最後に退社、フリーに。主著に『五衰の人―三島由紀夫私記―』(第10回新潮学芸賞受賞)、『妻の肖像』『「民主主義」を疑え!』。訳書に、A・トフラー『第三の波』、D・キーン『日本文学史』など。86年に菊池寛賞受賞。
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