乾坤一擲の「マザーズ」開設も信用失墜を招いただけ
高さ十メートル、直径十七メートルのガラス張りの巨大な筒の上部を、電光表示の会社名と株価が次から次へと回っていく――。五月十五日、東京証券取引所内にオープンした「東証アローズ」の目玉は、あたかも、ひと昔前の未来映画の宇宙船のように、明るく無機的である。利益への欲望が、汗や怒号や人いきれとなって渦巻いていた株式売買の「立会場」が、つい一年前までそこにあったことなど、もはや想像するのも難しい。
実際、この巨大な筒の機能は立会場とはまったく役割が違う。中では売買監理室の職員が、大型スクリーンや机上のコンピューターを使って、株式などの売買状況を監視している。東証は「取引所の中心機能」だと強調するが、そこには「売り手」も「買い手」も姿をみせない。
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