プーチン大統領、G8欠席の真相は

名越健郎
執筆者:名越健郎 2012年5月28日
カテゴリ: 国際 政治
エリア: ロシア

 やや旧聞に属するが、ロシアのプーチン大統領が5月18、19日の主要8カ国(G8)サミットを欠席した背景は興味深い。

 第1の理由は、欠席の理由に挙げた「新内閣の人選」だろう。新機軸が見られるかと注目された閣僚名簿だったが、主要閣僚は続投、新閣僚も軽量級で、新味がなかった。閣僚辞退者が続出し、実際に人事は混乱したという。新内閣発足は就任から2週間後の21日で、主要国では考えられない遅さだ。

 ベドモスチ紙によれば、元首相のキリエンコ・ロスアトム総裁はエネルギー担当副首相という枢要ポストを提示されたものの辞退した。女性のナビウリナ前経済発展相も社会問題担当副首相ポストを提示されたが、「政府で働くのに疲れた」と断った。大統領選挙で改革派の票を集めて3位につけ、目玉閣僚と注目された新興財閥のプロホロフ氏も、産業担当副首相就任を拒否したという。

 辞退者続出は、新プーチン政権の前途が厳しいとみられることから、閣僚ポストの魅力が落ちていることを示唆している。プーチン時代は既にピークを過ぎており、今後も内政問題が外交の足かせになるだろう。

 欠席の第2の理由は、西側クラブであるG8の軽視だ。大統領が就任直後に布告した外交政策に関する大統領令は、国際機関との協力の部分で、国連、BRICS、主要20カ国・地域(G20)に続いてG8を挙げ、G8よりG20を重視していた。中国など新興国との連携を軸に、欧米を揺さぶる狙いがうかがえる。

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執筆者プロフィール
名越健郎
名越健郎 1953年岡山県生れ。東京外国語大学ロシア語科卒業。時事通信社に入社、外信部、バンコク支局、モスクワ支局、ワシントン支局、外信部長を歴任。2011年、同社退社。現在、拓殖大学海外事情研究所教授。国際教養大学東アジア調査研究センター特任教授。著書に『クレムリン秘密文書は語る―闇の日ソ関係史』(中公新書)、『独裁者たちへ!!―ひと口レジスタンス459』(講談社)、『ジョークで読む国際政治』(新潮新書)、『独裁者プーチン』(文春新書)など。
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