テロリストの誕生(1)仏紙襲撃「クアシ兄弟」の軌跡

国末憲人
執筆者:国末憲人 2015年3月4日
エリア: ヨーロッパ 中東

 1月7日に起きたフランスの連続テロは、何より言論機関が襲撃の対象となった点で、大きな衝撃を持って受け止められた。日本ではその後、過激派組織「イスラム国」による日本人の人質殺害事件にニュースの焦点が移ってしまった感があるが、地元フランスでは現在も議論と検証が続いている。事件を起こした容疑者らの生い立ちも、次第に明らかになってきた。

 容疑者らは、イスラム過激派や原理主義との接点を最初から持っていたわけではない。宗教とは縁遠い少年時代を過ごし、次第に過激思想に絡め取られていった。その過程を探ることで、テロリストが誕生するメカニズムを明らかにできないだろうか。

 現地の報道をもとに、容疑者らの軌跡を追った。

 

のどかな村の孤児院

 フランス中部のリムーザン地方コレーズ県は、国内でも最も地味な県の1つだろう。森と湖に囲まれ、自然は豊かだが、どこまで行っても山ばかり。これといった産業もなく、著名な観光地や史跡、記念物にも乏しい。外国人観光客の姿など、まず見かけない。

 それでも、この県名をほとんどのフランス人が知っているのは、シラク元大統領、オランド現大統領の地元であるからだ。シラクはパリの出身だが、先祖がこの地方と関係があり、総選挙に立候補する際にここを選挙区として選んだ。県内のサラン村にある城館を購入して居と定めた。

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執筆者プロフィール
国末憲人
国末憲人 1963年生れ。85年大阪大学卒。87年パリ第2大学新聞研究所を中退し朝日新聞社に入社。富山、徳島、大阪、広島勤務を経て2001-04年パリ支局員。外報部次長の後、07-10年パリ支局長を務め、GLOBE副編集長、本紙論説委員のあと、現在はGLOBE編集長。著書に『自爆テロリストの正体』(新潮新書)、『サルコジ―マーケティングで政治を変えた大統領―』(新潮選書)、『ポピュリズムに蝕まれるフランス』『イラク戦争の深淵』(いずれも草思社)、『ポピュリズム化する世界』(ダイヤモンド社)、共著書に『テロリストの軌跡―モハメド・アタを追う―』(草思社)などがある。
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