“国境なき大臣”クシュネルはフランス外交を変えるか

国末憲人
執筆者:国末憲人 2007年8月号
カテゴリ: 国際
エリア: ヨーロッパ

[パリ発]左隣にライス米国務長官、右隣に潘基文国連事務総長を従え、フランスのベルナール・クシュネル外相(六七)が華々しく記者会見に臨んだ。六月二十五日、パリの凱旋門に近い国際会議場でスーダン西部ダルフール地方の人道危機への対応を協議する外相級会合を受けてのことだ。 就任一カ月あまりの外相にとって、これは各国メディアの注目を浴びる最初の機会だ。壇上のマイクの調子が悪いのを「これがいつものフランスですよ」と英語で冗談めかしながら、次々と質問者を指名し、自らその場を仕切って見せた。「世界最大の人道危機」への介入を訴える米国に対し、フランスは隣国のチャドや中央アフリカとの密接な関係にもかかわらず、傍観者として振る舞ってきた。しかし、五月のサルコジ大統領の当選とクシュネル外相の就任はイメージを変えた。外相級会合は、新政権の関与を示すために打ち上げたイベントだった。 そこには、クシュネル氏の個性が色濃く反映している。 消化器科医師だった同氏は一九六八年、ビアフラ戦争(ナイジェリア内戦)で赤十字の救援活動に携わって以降、世界の危機の現場を渡り歩いた。七一年には後のノーベル平和賞受賞団体「国境なき医師団」を、八〇年には「世界の医療団」を結成。社会党政権で人道活動担当相や保健相を歴任した後、九九年から二〇〇一年にかけて国連コソボ暫定統治機構の事務総長特別代表を務めた。

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執筆者プロフィール
国末憲人 1963年岡山県生まれ。85年大阪大学卒業。87年パリ第2大学新聞研究所を中退し朝日新聞社に入社。パリ支局長、論説委員を経て、現在はGLOBE編集長、青山学院大学仏文科非常勤講師。著書に『自爆テロリストの正体』『サルコジ』『ミシュラン 三つ星と世界戦略』(いずれも新潮社)、『ポピュリズムに蝕まれるフランス』『イラク戦争の深淵』『巨大「実験国家」EUは生き残れるのか?』(いずれも草思社)、『ユネスコ「無形文化遺産」』(平凡社)、『ポピュリズム化する世界』(プレジデント社)など。
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