肉牛生産者や食肉加工業者からのロビイ活動を受け、農業州選出議員の声は高くなるばかり。だが、安全性の確立は遅れ――[ワシントン発]加藤良三駐米大使は、その日、米国からの風圧を肌で感じていた。 三月十四日、米連邦議会議事堂があるキャピトル・ヒル。上院財政委員会のグラズリー委員長(共和党、アイオワ州)の要請で議会を訪れた。米国産牛肉輸入の再開問題に対する日本の見解を伝えるのが目的である。「牛肉の禁輸措置は通商問題ではない。食の安全の問題だ。安全性の判断は、政府から独立した機関である食品安全委員会が下す」。大使の言葉に議員から質問が飛ぶ。「では、輸入はいつ再開されるのか」。
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