「神鋼」「日産」品質不正問題:「員数主義」に陥った日本製造業の危機

後藤康浩
執筆者:後藤康浩 2017年10月17日
エリア: 日本
頭を下げる川崎博也・神戸製鋼所会長兼社長には、定見も哲学も感じられない (C)EPA=時事

 

 日産自動車が無資格者による完成品検査で100万台を超す大規模リコールに追い込まれたのに続き、神戸製鋼所がアルミや鉄鋼で顧客の求める基準に未達の製品を出荷していたことが発覚した。日本の製造業を代表する2社の不正の底流には、「無資格者が検査しても品質には問題がない」「ユーザーの求める仕様に達していなくても安全だ」といった驕りが感じられる。

だが、それ以上に深刻なのは、検査や基準の達成は「事実ではなく、記録だけでよい」とする“員数主義”の考えが見え隠れすることだ。戦前の日本の軍隊に跋扈した現実逃避の精神主義、事実が伝わらないという組織の硬直、昇進のみを目的とするエリート主義が大手企業に広がっているとすれば、日本の製造業は既に瀬戸際に立たされている。

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執筆者プロフィール
後藤康浩 亜細亜大学都市創造学部教授、元日本経済新聞論説委員・編集委員。 1958年福岡県生まれ。早稲田大政経学部卒、豪ボンド大MBA修了。1984年日経新聞入社。社会部、国際部、バーレーン支局、欧州総局(ロンドン)駐在、東京本社産業部、中国総局(北京)駐在などを経て、産業部編集委員、論説委員、アジア部長、編集委員などを歴任。2016年4月から現職。産業政策、モノづくり、アジア経済、資源エネルギー問題などを専門とし、大学で教鞭を執る傍ら、テレビ東京系列『未来世紀ジパング』ナビゲーター、ラジオ日経『マーケットトレンド』などテレビ、ラジオに出演。講演や執筆活動も行っている。著書に『ネクスト・アジア』『アジア力』『資源・食糧・エネルギーが変える世界』『強い工場』『勝つ工場』などがある。
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