日産自動車が無資格者による完成品検査で100万台を超す大規模リコールに追い込まれたのに続き、神戸製鋼所がアルミや鉄鋼で顧客の求める基準に未達の製品を出荷していたことが発覚した。日本の製造業を代表する2社の不正の底流には、「無資格者が検査しても品質には問題がない」「ユーザーの求める仕様に達していなくても安全だ」といった驕りが感じられる。
だが、それ以上に深刻なのは、検査や基準の達成は「事実ではなく、記録だけでよい」とする“員数主義”の考えが見え隠れすることだ。戦前の日本の軍隊に跋扈した現実逃避の精神主義、事実が伝わらないという組織の硬直、昇進のみを目的とするエリート主義が大手企業に広がっているとすれば、日本の製造業は既に瀬戸際に立たされている。
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