[ダカール/ナイロビ発(ロイター)]アフリカのマリでは10年の間、国連平和維持活動(PKO)を行ってきた国連マリ多面的統合安定化ミッション(UN Multidimentional Integrated Stabilization Mission in Mali =MINUSMA)が6月30日で期限を迎える。15カ国からなる国連安全保障理事会がPKOを延長するかどうか決定するが、6月16日にマリがPKO部隊の撤退を要求したことで、ミッションは終止符を打たれる可能性が出てきた。イスラム過激派の反乱や分離派の蜂起が再燃し、マリの混迷はさらに深まる恐れがある。
レームダック化した平和維持活動
MINUSMAは2013年、分離独立派の武装集団とアル・カイダと繋がりのある反政府組織がマリ北部を占拠した後に派遣された。マリに駐留していた旧宗主国であるフランスの部隊が一度は撃退したものの反攻を受けた。PKO部隊員170人が戦闘で命を落とし、MINUSMAは国連にとって最も多くの犠牲を出したミッションとなった。戦闘は隣国ブルキナファソやニジェールにまで広がり、世界最悪とも言える人道危機が拡大した。
2020年に権力を握った軍事政権は反フランスの姿勢を取り、ロシアとの関係を深めた。2021年にはロシアの民間軍事会社「ワグネル」と手を組み、その数週間後、マリはMINUSMAに対して飛行制限を課した。それ以来、MINUSMAは航空および地上作戦の手足を縛られ、思うような活動ができずにいる。10年ほど前から西アフリカで勢力を拡大してきたイスラム過激派に対しても十分な対応を取れていない。……
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