米・中戦略の狭間の「日本の立ち位置」

林吉永
執筆者:林吉永 2016年6月19日
カテゴリ: 国際 外交・安全保障

 中国、ロシア艦船が尖閣列島接続水域内を航行した。脅威は、何らかの理由で警戒を要する相手がいて、その行動、あるいは軍事力の整備に、相手の意思があからさまになる時に感知できる。そこで、「接続水域」における中・露の行動が脅威であるならば、その意思とは何か、中国の場合を考えてみたい。それは次のキーワードに秘められているのではないか。

それぞれの戦略

「Anti-Access/Area Denial (A2/AD)」は、米国防総省が行った議会年次報告「Military and Security Developments Involving the People’s Republic of China 2016」で指摘している中国の戦略的意図のキーワードである。また我が国の『防衛白書』中の記述、「第1列島線/第2列島線」は、「戦争の世紀」に覇権掌握の諸理論が主導して生まれた「生存圏」、「自給自足圏」、「パン・リージョン」などと同類の、中国の地政戦略を象徴する言葉である。

 中国の「A2/AD」や「第1列島線/第2列島線」に対してアメリカ側には、「Air Sea Battle Concept(ASBC)」がある。加えて、「Freedom of Navigation(自由の航行作戦)」は、中国の引いた第1列島線内の「南シナ海9段線」を牽制するとともに、ユーラシア大陸東縁部海域からインド洋、ニュージーランド海域に延びる「Eurasia Inner Crescent(ユーラシア内側三日月帯地域)」における中国の地政学的行動を警戒する作戦である。また第1列島線の外に引かれた第2列島線は、「Eurasia Outer Crescent」に包含され、現在、米国が軍事上のコミットを維持している。

この記事は役に立ちましたか?
フォーサイト最新記事のお知らせを受け取れます。
この記事をSNSにシェアする
執筆者プロフィール
林吉永
林吉永 はやし・よしなが NPO国際地政学研究所理事、軍事史学者。1942年神奈川県生れ。65年防衛大卒、米国空軍大学留学、航空幕僚監部総務課長などを経て、航空自衛隊北部航空警戒管制団司令、第7航空団司令、幹部候補生学校長を歴任、退官後2007年まで防衛研究所戦史部長。日本戦略研究フォーラム常務理事を経て、2011年9月国際地政学研究所を発起設立。政府調査業務の執筆編集、シンポジウムの企画運営、海外研究所との協同セミナーの企画運営などを行っている。
comment:2
icon
  • 記事の閲覧、コメントの投稿には、会員登録が必要になります。
フォーサイトのお申し込み
価値あるバックナンバー
注目記事ランキング
  • 24時間
  • 1週間
  • f
  • 新着
  • 高評価
  • コメント数順