GPIF「日本株シフト」で浮上した「国と企業」をめぐる「厄介な問題」

磯山友幸
執筆者:磯山友幸 2016年9月5日
エリア: 日本
5兆円超の損失を出した2015年度の運用実績について会見で説明するGPIFの高橋則広理事長(C)時事

 

 国民の年金資産を運用するGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)が8月26日に発表した今年4~6月期の運用成績は、またしても5兆2342億円という大幅な赤字になった。運用成績がマイナスになったのは四半期ベースで2期連続。GPIFは運用対象を国債などの債券から株式にシフトさせているが、6月末の日経平均株価が1万5575円と、3月末に比べて1183円(7.0%)下落したことで、これが「裏目」に出た格好だ。

 

引き上げられた「日本株」の運用枠

 価格変動が大きい株式での運用を増やせば、株価の上下によって資産価値が大きく増減するのは当然である。GPIFは、長期的な運用成績を見て欲しいと強調しているが、2015年度1年間でも5兆3098億円の赤字になっていただけに、株式運用へのシフトは間違いだったのではないか、という疑問の声が挙がっている。

 安倍晋三内閣は、政権を奪還した2012年末以降、GPIF改革に取り組んできた。それまでの債券中心の運用から株式へと急速にシフトさせたのである。2012年12月末に12.9%だった国内株式での運用割合は、2014年9月には当時の上限いっぱいだった18.2%に達していた。さらに2014年10月30日には資産構成の基本割合(ポートフォリオ)を全面的に見直し、それまで60%だった国内債券での運用を35%に引き下げ、一方で国内株式を12%から25%に引き上げた。株式中心の運用へと大きく舵を切ったのである。

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執筆者プロフィール
磯山友幸
磯山友幸 1962年生れ。早稲田大学政治経済学部卒。87年日本経済新聞社に入社し、大阪証券部、東京証券部、「日経ビジネス」などで記者。その後、チューリヒ支局長、フランクフルト支局長、東京証券部次長、「日経ビジネス」副編集長、編集委員などを務める。現在はフリーの経済ジャーナリスト。著書に『国際会計基準戦争 完結編』、『ブランド王国スイスの秘密』(以上、日経BP社)、共著に『株主の反乱』(日本経済新聞社)、編著書に『ビジネス弁護士大全』(日経BP社)などがある。
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