陸自「南スーダン撤収」という「政治判断」のご都合主義

林吉永
執筆者:林吉永 2017年3月21日
エリア: アフリカ 日本

 自衛隊のPKO活動については、「派遣の是非」と、「何故の撤収か」の議論が姦(かしま)しい。クラウゼヴィッツが言う「戦争は政治の継続」は、「軍事力は政争の道具」とも言い換えられる。自衛隊の海外派遣は、政治の継続であり、自衛隊員が政治の道具にされてきた観が拭えない。
 
 日本の国会では、南スーダンの都合や期待を忖度(そんたく)せず、また前線に送り込んだ自衛隊員の「懸命」を斟酌できない政争が顕わである。その俎上に在る陸自派遣部隊撤収の「予令」について、その分かり難さを考える。

「計算できる戦力」になったのに……

 まず、撤収の方針を「NSC 4大臣会合で決めた」とされるが、国会決議や閣議決定によらない「NSC決定」というプロセスは所与の手順だろうか。「部隊派遣計画の変更」は、「国際連合平和維持活動等に対する協力に関する法律」に基づき、変更は、「内閣総理大臣は閣議にその決定を求め(第六条13項)、国会へ報告しなければならない(第七条)」とある。従って「予令」は、「動令」への段階で正規の手続きに移ると考えたい(「前へならえ」という号令の場合、「前へ」が予令、「ならえ」が動令となる)。

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執筆者プロフィール
林吉永 はやし・よしなが NPO国際地政学研究所理事、軍事史学者。1942年神奈川県生れ。65年防衛大卒、米国空軍大学留学、航空幕僚監部総務課長などを経て、航空自衛隊北部航空警戒管制団司令、第7航空団司令、幹部候補生学校長を歴任、退官後2007年まで防衛研究所戦史部長。日本戦略研究フォーラム常務理事を経て、2011年9月国際地政学研究所を発起設立。政府調査業務の執筆編集、シンポジウムの企画運営、海外研究所との協同セミナーの企画運営などを行っている。
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