饗宴外交の舞台裏 (254)

おもてなしのイラン料理「ゴルメサブジ」決め手はハーブとドライレモン

執筆者:西川恵 2019年9月25日
エリア: 中東 アジア
日イラン外相会談の様子 (C)AFP=時事

 

 いまから10年ほど前のこと。駐日イラン大使が日本のメディアの元テヘラン特派員を集めて、懇談をもった。イランの核兵器開発疑惑が持ち上がっていた時で、イラン政府の立場を説明する狙いがあった。

 私にも声がかかり、東京・港区内の大使公邸に赴いた。7~8人の元特派員を前に、まず大使が核の平和利用の権利を語った。「イラン・イラク戦争で大きな被害を被ったイランは、平和の大切さをどの国よりも知っています」と、濃縮ウランの製造や原発建設など同国の核燃料サイクル計画は核兵器開発ではないと強調した。その後、元特派員からの質問に一通り答えた大使は「ではこれからは食事をしながら話を続けましょう」と、続きの広間に一同を案内した。

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執筆者プロフィール
西川恵(にしかわめぐみ) 毎日新聞客員編集委員。日本交通文化協会常任理事。1947年長崎県生れ。テヘラン、パリ、ローマの各支局長、外信部長、専門編集委員を経て、2014年から客員編集委員。2009年、フランス国家功労勲章シュヴァリエ受章。著書に『皇室はなぜ世界で尊敬されるのか』(新潮新書)、『エリゼ宮の食卓』(新潮社、サントリー学芸賞)、『ワインと外交』(新潮新書)、『饗宴外交 ワインと料理で世界はまわる』(世界文化社)、『知られざる皇室外交』(角川書店)、『国際政治のゼロ年代』(毎日新聞社)、訳書に『超大国アメリカの文化力』(岩波書店、共訳)などがある。
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