【Explainer】五輪開催を控えパリがパニック「トコジラミ騒動」

2023年10月25日
タグ: フランス
エリア: ヨーロッパ
トコジラミに血を吸われると強いかゆみを引き起こす。近年は日本でも被害が増えている (C) REUTERS/Stephanie Lecocq
9カ月後に夏季オリンピックを控えたパリ。フランス政府は今、全国的に広がる「トコジラミ(南京虫)騒動」に収拾をつけるべく奔走している。

[パリ発/ロイター]フランス政府は10月6日に緊急会議を開催。広く拡散されたSNSの投稿や俗説から生まれた「危機」に対応するべく議論を進めた。害虫駆除の専門家はトコジラミ大量発生の報道について困惑する一方、テレビ番組では大々的に取り上げられている。

トコジラミとは

 トコジラミは小さな扁平で羽のない昆虫で、体長は6ミリ程度。日中はベッドのマットレスや寝具に隠れて過ごす。血液をエサとし、夜になると隠れ場所から出てきて吸血する。トコジラミは世界の中でも最もメジャーな不快害虫の一つと考えられている。主にヒトを宿主とし、ヒトの病原体に感染することがあるものの、感染病を伝播することは確認されていない。

 メスは1日に1〜5個、生涯で200〜500個の卵を産む。害虫駆除の専門家によれば、トコジラミはエサを食べずに数カ月生き続けることができる。パリでは、鉄道の乗客、映画館の観客、パリコレクションのために滞在中のアメリカのインフルエンサーなどが、トコジラミを目撃したり噛まれたりしたと報告している。

フランス国内の反応は?

 フランスでは、マスコミの過熱報道や政治家のご都合主義、2024年のパリオリンピックが台無しになるとの世間的な不安が目立つ。……

カテゴリ: 社会
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