中国の海軍力増強を警戒するロシア

名越健郎
執筆者:名越健郎 2012年8月2日
カテゴリ: 国際 外交・安全保障
エリア: ロシア 中国・台湾

「中露関係は史上最良」というプーチン大統領らのレトリックとは裏腹に、ロシアはこのところ中国の軍事力拡張に警戒感を強めている。

 ロシア海軍は6月末から、サハリン南部のアニワ湾で唐突に海軍演習を実施したが、消息筋によれば、その直前に中国の海洋観測船が初めてオホーツク海を航行する動きがあったという。冷戦時代からロシアの聖域であるオホーツク海には、米艦船もあまり入らなかった。ロシア側はこの動きに衝撃を受けた模様だ。

 2008年10月にも、中国海軍の駆逐艦など4隻が津軽海峡を通過して日本海から太平洋に抜ける動きがあった。これもロシア海軍にショックを与えた模様で、その後オホーツク海で海軍演習が行われた。

 6月からハワイ沖で実施された環太平洋合同演習「リムパック2012」には、ロシア海軍艦艇三隻が参加した。1971年から日米韓豪カナダなどが隔年で実施している同演習は、冷戦時代はソ連の脅威を想定していたが、現在は中国の海軍力をにらんだ演習。ロシアはこれまでオブザーバー参加だったが、今回から初めて正式参加した。

 ラブロフ・ロシア外相は11年11月、ハワイでの日露外相会談で、「オホーツク海の軍事演習は日本を刺激する意図はなく、誤解を生まないためにも防衛当局者間の緊密な関係を構築したい」と発言。12年1月の日露外相会談では、両国の防衛交流や安保対話の強化を強く求めた。日本への安全保障上のアプローチも中国を意識した措置だろう。

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執筆者プロフィール
名越健郎
名越健郎 1953年岡山県生れ。東京外国語大学ロシア語科卒業。時事通信社に入社、外信部、バンコク支局、モスクワ支局、ワシントン支局、外信部長を歴任。2011年、同社退社。現在、拓殖大学海外事情研究所教授。国際教養大学東アジア調査研究センター特任教授。著書に『クレムリン秘密文書は語る―闇の日ソ関係史』(中公新書)、『独裁者たちへ!!―ひと口レジスタンス459』(講談社)、『ジョークで読む国際政治』(新潮新書)、『独裁者プーチン』(文春新書)など。
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