日朝交渉「暗礁」(下)残された時間は少ない

平井久志
執筆者:平井久志 2015年4月11日
エリア: 朝鮮半島

興味深い捜索への本国の反応

 警察の合同捜査本部は3月26日に容疑者2人を逮捕し、朝鮮総連議長宅など6カ所を捜索したが、北朝鮮本国の反応は素早かった。

 北朝鮮の朝鮮海外同胞援護委員会は翌日の3月27日に、捜索を「総連弾圧策動」として糾弾する声明を発表した。

 3月28日には朝日友好親善協会と朝日交流協会が捜索を糾弾する声明をそれぞれ発表した。

 さらに労働党機関紙「労働新聞」は3月28日付6面の下段を使って、総連議長宅と副議長宅が家宅捜索を受けたという東京発同26日付の朝鮮通信の記事と、同26日付の朝鮮総連中央常任委員会の声明と、同27日付の朝鮮海外同胞援護委員会の声明を掲載し、本国もこれを重視していることを強くアピールした。

 これに比べて興味深いのは、4月2日付で北朝鮮から日本政府へ外交ルートを通じて伝達された「朝日政府間の対話ができなくなった」とする「通知文」については、朝鮮中央通信が報じただけで、「労働新聞」などは報じていないことだ。

 北朝鮮は今回の合同捜査本部の総連議長や副議長宅への家宅捜査は総連弾圧であると激しく反発しているが、「日朝政府間の対話ができなくなった」とする「通知文」についてはやや留保的な立場を取っているといえる。

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執筆者プロフィール
平井久志
平井久志 ジャーナリスト。1952年香川県生れ。75年早稲田大学法学部卒業、共同通信社に入社。外信部、ソウル支局長、北京特派員、編集委員兼論説委員などを経て2012年3月に定年退社。現在、共同通信客員論説委員。2002年、瀋陽事件報道で新聞協会賞受賞。同年、瀋陽事件や北朝鮮経済改革などの朝鮮問題報道でボーン・上田賞受賞。 著書に『ソウル打令―反日と嫌韓の谷間で―』『日韓子育て戦争―「虹」と「星」が架ける橋―』(共に徳間書店)、『コリア打令―あまりにダイナミックな韓国人の現住所―』(ビジネス社)、『なぜ北朝鮮は孤立するのか 金正日 破局へ向かう「先軍体制」』(新潮選書)『北朝鮮の指導体制と後継 金正日から金正恩へ』(岩波現代文庫)など。
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