饗宴外交の舞台裏 (191)

サウジ皇太子「異例の歓迎メニュー」から窺える官邸の苦心

執筆者:西川恵 2014年4月11日
エリア: 中東
 晩餐会も和やかな雰囲気だった (C)時事
晩餐会も和やかな雰囲気だった (C)時事

 今年2月、サウジアラビアのサルマン皇太子が来日したが、官邸でもたれた歓迎夕食会のメニューにはちょっと驚かされた。料理の内容といい、ラインナップといい、これまで見たことのないものだったからだ。一片のメニューには情報が溢れている。私がどう読み取ったかご紹介しよう。

 

お寿司のあとに……

 サルマン皇太子は王位継承権第1位で、国賓に次ぐ公賓という高いレベルの訪問となった。2月18日から21日まで日本に滞在し、19日に安倍晋三首相と会談した。会談後、両首脳は共同声明を発表した。両国の包括的パートナーシップを強化するとともに、サウジは日本への石油の安定供給を約束。また両国は省エネ分野での協力などを進めていくことでも合意した。

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執筆者プロフィール
西川恵(にしかわめぐみ) 毎日新聞客員編集委員。日本交通文化協会常任理事。1947年長崎県生れ。テヘラン、パリ、ローマの各支局長、外信部長、専門編集委員を経て、2014年から客員編集委員。2009年、フランス国家功労勲章シュヴァリエ受章。著書に『皇室はなぜ世界で尊敬されるのか』(新潮新書)、『エリゼ宮の食卓』(新潮社、サントリー学芸賞)、『ワインと外交』(新潮新書)、『饗宴外交 ワインと料理で世界はまわる』(世界文化社)、『知られざる皇室外交』(角川書店)、『国際政治のゼロ年代』(毎日新聞社)、訳書に『超大国アメリカの文化力』(岩波書店、共訳)などがある。
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